ポートフォリオ

これは過去に発表された北原禎人によるポストスタンシャル・メンタリズム・シリーズの3作『The Essencial』『The Surgical』『LEMON』から、シリーズの質感が伝わりやすい小作品を選んで詰めた、いわばダイジェスト版小冊子です。過去の3作の存在を知っていて、しかし何が書いてあるのか分からない不安やPVから感じ取れるどことない気持ちのざわつき、もしくは不気味な表紙などから購入を控えられてきた方のために、その導入・紹介として制作しました。

このシリーズは第1作目の刊行以来、変わらず両極端な評価を受け続けてきました。とても刺激的だという声がある一方で、分かりにくい、難解だという声をよく頂きます。第１作目がそのような評価を得た後でもシリーズを刊行し続けたのは「現場で行う作品として、こんな手法が存在しうる、こんなカタルシスが存在しうる、そしてそれを演じている人がいる」ということを伝えたかったから。存在を知るだけで刺激になるものがあるのです。

その刺激を少しでも多くのマジシャンに知って欲しいと思い、この小冊子を制作しました。新しい世界は、まだあるのです。それを直接感じてください。



内容：
01.Surfish (from “The Essential”)
即興の時間予言。煙草の箱にマジックペンで時計を書き、箱をひっくり返すと観客が好きに言った時間にその時計の針が書かれている。

02.Pablo 87 (from “Lemon”)
アルミホイルで包んだサイコロを観客が振り、アルミの下にある出た目を演者が言い当てる。それが可能な複数の手法を解説、組み立ては自由。特殊な組み合わせの素材感から生み出されるその構造自体を使った解決法も解説。

03.Kagebara (from “The Essential”)
ブックテスト等でのページのフォース、束と小口をデックに見立てながら本の形の構造と指の位置を利用してスライハンド的な解決をした一品。

04.Pho Grille (from “The Surgical”)
観客がシャフルした写真の束を4つに分け、それを広げて持って貰い、演者がキーワードを言いながら写真を捨てていって貰う。最後にそれぞれの手元に残った写真をショウダウンするとその4枚でしかありえない見てすぐに分かる共通性がそこに存在している。
※一度の質問で複数の観客の行動を一斉にフォースする「Dental
Question（デンタル・クエッション）」、そして言葉の持つ曖昧性を規格調節する概念、「Verbal Gear（バーバル・ギア）」の定義・解説を含む。

05.Vagabond